認知症と異なる点は次の2点です。
①高次脳機能障害は脳損傷の時期が明らかである。
②高次脳機能障害そのものは進行性の障害ではない。という点です。
高次脳機能障害は、頭部外傷や脳卒中など脳損傷の時期があきらかで、基本的には脳損傷時が一番障害が重く、リハビリによってある程度回復する部分があると考えられています。しかし、多くのタイプの認知症(アルツハイマー型認知症など)は、発症時期が特定しにくく、認知機能も含めて症状が進行していく変性疾患であることから、高次脳機能障害とは区別して考えられています。また脳血管障害の中でも脳梗塞を繰り返す場合などは、脳血管性認知症と診断されることがあり、症状が良くなったり悪くなったりを繰り返しながら進行していくという点が高次脳機能障害と異なります。
ただし、高次脳機能障害の概念や支援方法がまだ十分に知られていないために、本来高次脳機能障害と診断すべき人でも認知症と診断されることがあります。“認知症”と言われている人でも、時期が特定できるような脳損傷のエピソードがあり、認知機能低下が進行するタイプではない場合は、高次脳機能障害の可能性があります。